世間では雇用の流動化を推進すべきだと、評論家などが声を大にして騒いでいます。
つまり、正社員(正規社員)や派遣などの非正規社員の区別を無くして、解雇規制を撤廃し、解雇されても直ぐに雇用されるようにすれば失業率は改善するとのことです。
これは全ての被雇用者を非正規化することを意味します。
確かに短期的には失業率は改善するでしょう。しかし、被雇用者は常に失業の危険に晒されて、怯えながら生きていくことになります。
でも、評論家達は「直ぐに別の事業者に雇用されるから大丈夫」と主張するのですが、そんな簡単にいくのでしょうか?
そんな簡単に解雇されることを前提にすれば、みんなお金を今以上に使わなくなり、更にデフレが進行し雇用が減少します。
こんな簡単な論理なのに評論家はこのようなことを主張するのかはなはだ疑問です。
そもそも解雇と雇用を繰り返してその人の専門性が培われるのでしょうか?
雇用を流動化することで専門的な知識や技術が身に付かず、それゆえに専門的な知識や技術を必要としない職業に就かざるを得なくなって、今まで以上に代替可能要員として直ぐに解雇されることになります。
この代替可能要員は今問題になっている非正規やワーキングプアそのものです。つまり、雇用の流動化とは非正規やワーキングプアを大量生産するシステムと言うことです。
それに他人に代替可能な仕事自体は今後、機械化などによりドンドン減少します。なくなったりはしないでしょうけど。
日本政府は観光などのサービス業も増やそうしていますが、日本で観光業が成立するには技術立国としての日本あっての話です。